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フルバ新聞



─2001年10月02日 更新─
キャラクターデザイン 林明美さんインタビュー
フルーツバスケット第1巻がいよいよ発売!!
発売を記念して、
「フルーツバスケット」第1巻商品内ブックレットにも記載されている“キャラクターデザイン 林明美さん”のインタビューHPバージョンを特別に大公開!!

『フルバ』との出会い

―『フルーツバスケット』のキャラクター・デザインを手掛けられるきっかけは、どのようなことだったのでしょうか?
林さん(以下略)もうそれは、大地監督から直々にいただきました。

―監督の口説き文句というのは?
 いや、最初、何も言われなかったんですよ。いきなり電話がかかってきて、「こういう漫画知ってる?」って言われて(笑)「ちょっと次やろうと思うんだけど、読んでみてくれない?」と言われて……。
 それで、最初、原作の4巻ぐらいまでをもらったんですよ。「読んだら感想を聞かせて」みたいなことになって、そのときは終わったんですけれど……。
 何日か経ってから、また電話がかかってきまして「どう? こういうのどう思う?」って言われて(笑)。「なんか楽しそうですね」とか言ったら、「やってみない?」って話になって。
 あとで、その仕事をもらったポジションがキャラクター・デザインだったんで、 「えっ!?」って話になったんですけれど……。でも、まあ、見た感じは、描きやすそうかな、という感じを受けたのが第一印象ですね。

―描きやすい、と感じられたんですか? わりとアニメーションにしづらいというか、動かしにくい絵なのではないかと思ったのですが?
 動きづらいっていうのは、少女漫画全般、みんな言えると思うんですよね。そういう意味では、少女漫画はわりとやっていたんで抵抗はなかったですね。

高屋先生のニュアンスを崩さないように……

―キャラクターをデザインされる際に、一番気をつかわれたことというと?
 やっぱり高屋先生のニュアンスですね。少女漫画って繊細じゃないですか、線とかも。基本的に作りというか、骨格がそんなに入ってない絵が多いんで、なんとなく、みんな似て見えるんですけれど、細かいところが微妙に違うんです。
 あと、動かす際に、線を減らさなければいけないんで、線を減らしつつ、どうやってうまくまとめようかなというのが、一番大きな部分でしたね。

杞紗が最高にかわいいっ!

―原作をお読みになられて、作品自体の世界観や内容に関しては、どういった感想をお持ちになられましたか?
 なんか、こう、懐かしい感じが……(笑)。懐かしいっていうのを、最初に思いました。昔、10代のころによく読んでたんですよ。そのころ読んでいたような気持ちが、ガーッて来たっていうか……。

―編集部内では、どのエピソードがもっとも心の琴線に触れたかっていうのが話題になっていたりするんですけれど、そういう点ではいかがでしょう?
 個人的に、本当にやってみたかったのは、杞紗の話をやってみたいなと思ってたんですけれど、ちょっとローテーション的に無理だったんで……。杞紗がすごく好きなキャラクターなんです、ビジュアル的に。

―それは、キャラクターのポジション的に好きということで?
 ……うーん、というより、かわいいかなーと(笑)。かわいいですよね、マスコットみたいで。そこがちょっと紅葉とは違うトコなんですけれど。

―でも、紅葉も杞紗と似てますよね。かわいいところは。
 うーん、そうなんですけれど、なんか微妙に杞紗のほうが、もっとかまいたくなるというか、連れて歩きたい、という感じで。紅葉って、最初はすごくかわいいんですけれど、ずーっと一緒にいると結構しんどい(笑)。実際にいたら、多分やっぱり夾みたいな反応になっちゃうかなって思って。齋藤彩夏さんは、すごくかわいいんですけれどね。

はつ春の魅力は……?

 あと、はつ春も好きなんですよ。
はつ春は、どういったところが?
 ヌケてるところ。

―ヌケてるところ……(笑)。そうですねー、登場シーンからして強烈でしたからね。
 この風貌で、妙にかわいいところがあるじゃないですか。

―乳牛だし……(笑)。
 乳牛ってことで、設定を作るときに、ちょっとスタッフ間で話題になったことがあって……。乳牛って雌のイメージしかないじゃないですか。でも、女性じゃないし……。後ろを向いてお乳が見えたらイヤだよねって(笑)。さすがにそれはちょっとって話になって……。それで、乳牛だけど雄ということで。

すべての作画をチェックしてます

―『フルバ』では、作画監督さんがローテーションではなく、その方の得意な作風のエピソードを担当されていると聞いたのですが?
 作画監督は基本的にローテーションではあるんですよ。

―そうなんですか。
 ただ絵コンテは、その方のカラーみたいなのは考えて振っているみたいですね。

―と、いうことは、林さんが希望されたエピソードがあっても、そこはローテーションの都合でできなかったりするんですか?
 うーん、基本的には最初にある程度組んでしまっているんで、そういうのはあるんですけれど。ただ、キーになる話というのはあるじゃないですか、そこはなるべく押さえたいなと思っていまして、その辺のローテーションはうまくはまってます。例えば第13話っていうのは、ちょうど1クールのオシリですよね。そこもポイントになる場所で、ちょうどハマってるんですよ。
 あとは、杞紗の話なんていうのはほかの方にお願いしてるんですけれど、一応、チェックはさせていただいてます。でも、ほかの作画監督の方もすごくきちんと上げてくれてるんで、安心してお任せしてます。

演出・平松氏の高度な要求?

―『フルバ』は心の動きを表情ひとつで表現しなくてはいけないことが多くて、作画は大変だとお聞きしましたが?
 第8話が特に、心情芝居が多かったのでとても苦労しました。しかも、演出が平松さんじゃないですか。平松さんが要求するものはすごーく大変でした(笑)。平松さんは元々、作画が専門の方なので……。『フルバ』では演出ですけれど、演出以上のことをされている(笑)。レイアウトがバリッと直って私の手元に来たりするんです。渡されるものにも、なんかこう、心情などが上に書いてあったりして「うっ! 難しい!」とか思いながら……。
 ご自分が描けるんで、さらさらっと描いてくるんですけれど、「これ描けないよ、普通の人」とか思ったり……。でも、すごく勉強になりました。

大地監督、暴走……?

―大地監督の印象は?
 なんかよく分かんない親父だなって感じで。

―(笑)そのまま書いちゃいますよ!
 でも、楽しいですよ! 現場が暗くならないっていうか。

―それはいいことですね!
 うん。いいことだと思います。時々暴走してますけれど(笑)。突然、やってきて、さっと帰っていくし……(笑)。

原作との違いも楽しんでください

―『フルバ』ファンの方々にメッセージをお願いいたします。
 原作を好きな方も、初めて見る方も、アニメならではの『フルバ』っていうのを楽しんでいただければいいかな、と思います。原作通りじゃないところも出てくると思うんですよね、これから先。でも、それはそれで多分、うまくやっていけると思っているので、その辺も楽しんでみていただければいいかな、と。最終回も楽しみにしていただきたいです。みんな全力で取り組んでいますので。

―どうもありがとうございました。

【2001年7月某日 スタジオ・ディーンにて】


 
 
(C)高屋奈月/白泉社・テレビ東京・NAS・フルバ製作委員会

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