あなたの”幸せ”を心地よく破壊する。
奇才・堤幸彦が、これまでとはまったく違ったアプローチで映画を撮った。
07年雑誌に掲載されていた建築家/作家の坂口恭平のホームレス生活に関する記事を読み、
既成概念を打ち破る生き方に触発された堤は、情報量の多い画や音楽でエンターテイメント性を高める
作風を封印し、出身地・名古屋でモノクロ映画に挑んだ。
主演を務めるのは、名古屋在住のフォークシンガーいとうたかお。本格的な演技は今回が初めてとなる。
脇を固めるのは石田えり、板尾創路、木村多江という実力派たち。原作はコストゼロの家を提唱し各界から注目を集める坂口恭平。意外性のある組み合わせによって誕生した異色の映画『MY HOUSE』には、堤幸彦の新たな可能性が濃密に息づいている。 とある都会の片隅に、見たこともない「家」が建っていた。それは鈴木さん(いとうたかお)とパートナー・スミちゃん(石田えり)が作った組み立て式の、どこへでも自由に移動できる画期的な「家」。
鈴木さんはほぼ0円で生活を賄っている。都会に捨てられたアルミ缶を拾い集め換金、不要になったクルマのバッテリーを使って狭いながらもオール電化。目からウロコのアイデアを駆使することで、質素ではあるがそこそこ快適に暮らしていた。都会に生きる自由で不自由な存在。
その一方で、エリートコースを目指す中学生・ショータ(村田 勘)がいた。人嫌いで潔癖症の主婦・トモコ(木村多江)がいた。決して交わるはずのなかった彼らの暮らしが、ある事件をきっかけに交差していく―。