首藤剛志さんからのメッセージ
今、 モモを見て感じること……  首藤剛志

ミンキーモモの原型をぼんやり考えていたのは、40年ほど昔……ただし、主人公は男の子……「風の又三郎」のような少年でした。
 それから、メリー・ポピンズという映画があり男の子から、女の子に変わり、シナリオを書くときにその声が、いつの間にか小山さんに変わっていました。「ミンキーモモ」を作る前に「巴里のイザベル」という作品があり、その時、顔を見ず(声優の顔を見てもしょうがない)テープの声だけでプロデューサーに小山さんでなければ、シナリオを書かないと強引に要求したのです。
 そして、二代目のミンキーモモは林原さん……当時「ようこそようこ」というアニメを書いていて、主人公の「ようこ」より脇役の「サキ」の方が目立つからスポンサーサイドから「サキ」を殺してくれ……、つまり、外国かどこかに行って行方不明にしてくれと強引に言われ、スポンサーサイドの圧力を避ける為に、半年入院して、シナリオぎりぎりのしめきりにして「サキ」暗殺計画を防止したこともありました。
 ですから、二人のミンキーモモは、それぞれ僕にとって大切な声になっています。
 スタッフもこの二人を愛していたようで、今回の作品の橋はモデルまで作り、駅はミラノ駅など、イタリアの駅を、ハンティングして作られています。
 さらにテーマは、別にミンキーモモが主人公である必要はなく、それでいて、ミンキーモモが主役でなければ作れない作品という不思議な作品になっています。
 ともかく、この二作品は、ミンキーモモが主役であり、そして、ミンキーモモ自身が、この作品を見ているあなたたち自身といってもいい作品にするつもりでした。
 主人公だけではなく、他の出演者もあなた自身かもしれません。
 21世紀は、なんだか、ろくでもないはじまり方をしていますが、みなさんがミンキーモモになってくれれば、少しはましになるかもしれません。
 夢を実現することは難しいかもしれませんが、きっとその気になれば実現すると、20代でミンキーモモを書いた僕は、50代になっても、そう思っています。
 みんながモモになれる日を夢見て……そうです、あなた自身がミンキーモモなんですよ。みなさん、モモに負けずに、がんばってください。

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